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【意外と知らない原価計算】 部門別原価計算による予算コントロール

1  部門別原価計算とは

原価を発生した組織上の部門ごとに集計する手続を部門別原価計算といいます。
例えば、パンを作る場合、材料を購入する購買部門とパンを焼く製造部門に分かれるとします。パンは2つの部門を経て作られるのですから、どの部門でどれだけの原価がかかったかを把握する必要があります。


部門別原価計算を行う理由は一般的には、第一に原価管理を効果的に行うため、第二に製品原価を合理的に計算するためと言われています。しかしながら、組織上の部門と活動とはイコールではありませんし、そのような部門に原価を集計しても製品原価の正しい計算にはつながりません。部門別原価計算は発生原価の予算コントロールの意味しか持たないということになります。



2  製造部門と補助部門

工場における部門には直接製造作業を行う製造部門と、製造部門に対して補助的な活動を行う補助部門とがあります。

また、補助部門は動力部、検査部、修繕部などのように自部門のサービスを製造部門に提供する補助経営部門と、生産管理部、工場経理部、資材部など工場全体の管理を行う工場管理部門とに分かれます。


すべての発生原価がすんなりと製造部門や補助部門に直接集計できるとは限りません。例えば、同じ工場の同じフロアに計理部と人事部が同居している場合、それぞれの電気代や空調代を正確に計算できません。こうしたコストを部門共通費と言います。

一方、従業員の給与や交通費や電話代など、部門ごとに集計できるコストを部門個別費と言います。部門共通費は何らかの基準で該当する部門に振り分けます。これを部門費の配分と言います。部門共通費の配分基準は、コストの発生をじっくり観察して決める必要があります。

例えば、電気代や空調代を床面積比、あるいは作業者などを基準にして配分します。
補助部門に集計された製造間接費を製造部門に振り分けることを配賦と言います。なぜ配賦するかというと、補助部門は製造部門を支えているからです。そこで、両部門の関係を慎重に検討し合理的な配賦基準にもとづいて補助部門費を負担させます。

20120213 -cost 007.JPG

 

現実的には、コストは発生と同時に部門別に集計されます。つまり、費目別原価計算と部門別原価計算とは同時に行われます。また、部門はビジネスプロセスとは異なる概念です。あくまでも組織上の単位にすぎません。

 

したがって、部門間の配賦をどれだけ詳細に行っても、原価計算が正確になるというものではありません。伝統的原価計算の欠陥は、価値を作りあげるプロセスという概念がないことです。当然、プロセスで行われるさまざまな活動概念もありません。

次回以降、製品ごとの原価計算についてみていきます。

 

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【意外と知らない原価計算】 判断ミスが多い材料費

1  材料と材料費の違い

購入したものの、未だ使用先が決定していない状態の原料や部品を材料といいます。
材料を消費すると、材料費という原価が発生します。具体的には、特定の製造作業を引き当てた際に材料が消費されます。単に倉庫から製造工程に移動させただけでは、材料保管場所を移動させたにすぎません。なお、会計で材料費という場合は、部品や製品を作るために消費した素材や購入部分だけでなく、電球や紙テープなどの消耗品、ペンチ、金槌、机等の消耗工具器具備品も含まれます。

 

2  直接材料費と間接材料費の区分

材料費は製品、あるは製造オーダーに対して直接的に集計できるかどうかで、直接材料費と間接材料費に区分します。主要材料費と買入部品費が直接材料費、補助材料費が間接材料費となるのではありません。実務上の直接材料費と間接材料費の違いは、その材料や部品の消費量が製品の配合表や部品構成表に登録されているかどうかで決定します。
したがって、買入部品費であっても部品構成表に載っていなければ間接材料費であり、ビス、ワッシャー等でも部品構成表に載っていなければ直接材料費となります。なお、消耗品と消耗工具器具備品の月末在庫は、材料ではなく貯蔵品として貸借対照表に計上します。

 

3  材料購入の意味

購買部は発注した材料が届く(納品)とそれが発注したものと質・量ともに一致しているかどうかをチェックします。この作業を受入検査といいます。注文どおりであることが確認できれば会社の材料として受け入れるとともに、代金の支払が確定します。これが検収です。
会計的には、検収の時点で材料/買掛金という仕訳を作成します。これは材料の受け入れと支払義務としての買掛金が同時に成立したことを意味します。
したがって、検収時点と会計仕訳の入力と材料倉庫への入庫のタイミングは一致していなければなりません。ところが、1日分や1週間分の仕訳をまとめて作成して入力することが頻繁に行われています。これでは、会計情報は材料の動きや買掛債務の発生を正確に表現していないことになります。

 

4  材料勘定を直接材料勘定に振り返るタイミング

製造現場でのモノの動きを計画し、統制する部門が生産管理部です。製造部に対して製造オーダーを、材料倉庫部に対しては部品の出庫指示を出します。
倉庫担当者は、出庫指示に従って、製造オーダーごとに必要な部品を必要量集めて製造工程へ払い出します。この時点で材料は仕掛品に形を変えたことになり、仕掛品(直接材料費)/材料の仕訳を起こします。

 

5  仕掛品と材料の混同

材料は、特定の製品(製造オーダー)に引き当てた際に仕掛品(直接材料費)となりますが、最初から特定の製品を作るためにヒモつきで購入される場合は、検収即仕掛品(直接材料費)となります。
逆に、未使用の材料を倉庫から作業現場に移動しても、それは在庫移動であり、材料の消費(仕掛品)ではありません。

置き場所の違いで材料と仕掛品を分類している会社がありますが、この方法は間違いであるだけでなく、粉飾の手段に使われる場合があるので要注意です。もし材料費を基準として加工費を配賦する方法をとれば、未使用であっても加工品は配賦されますので仕掛品金額は大きくなり、その分計算上の期間利益が増えることになります。

 

6  材料払出単価

倉庫から払い出された材料単価を決定する方法には、以下のような方法があります。

20120425 -0001.JPG

こららは使用した材料の単価を計算するときの仮定の違いになります。実際の材料がどのように払い出されようと、会計上は関係ありません。
「先入先出法」は、先に仕入れた材料から順に消費すると仮定した場合の払出単価です。「移動平均法」は、仕入れのつど単価を平均する方法です。「総平均法」は1ヶ月間の前月からの繰越数量と当月仕入れ数量の合計で、それぞれの金額合計を割って単価を計算します。「予定原価法」は、一定期間払出単価を固定する方法です。

これらのうち、最も多く用いられる方法は予定原価法です。材料費は消費した数量×予定単価=直接材料費となりますから、単価が決定しなくても、消費数量を正確に把握した段階で直接材料費が決定し製造原価が計算できます。
効果的な原価計算システムを設計する秘訣は、予定単価をいかにうまく利用するかです。

予定原価法を用いる場合、購入時に実際単価を予定単価にに置き換えます。この差額を購入価格差異といいます。購入価格差異を測定するのは、購買活動による原価引下げという重要な目的があるからです。
材料代の引下げは、製造活動の見直しによる原価引下げにより、はるかに即効性があります。そこで、達成目標としての予定単価と原価ダウン目標を設定して、購買活動をチェックします。

 


 

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【意外と知らない原価計算】 製品別の原価計算方法

1  製品別原価計算とは

製品ごとのコストを計算する手続を、製品別原価計算といいます。製品別に原価を集計する方法には、大きく分けて以下の2つになります。


個別原価計算
製品ごと、あるいはプロジェクトごとにコストを直接集計する方法です。これは船舶、車両、航空機、工作機械などのように、顧客から個別に受注する生産形態の場合に適用されます。

総合原価計算
特定の製品ではなく、会計システムより集計した一定期間(1ヵ月)に発生した製造コストを把握し、仕掛品原価を加減して完成品原価を作成する方法です。

2  個別原価計算と総合原価計算の違い

総合原価計算は、大量に同一製品を反復生産する場合に適用されます。個別原価計算と総合原価計算は同じように見えますが、両者は全く異なる計算体系です。


一番の違いは、個別原価計算は製品ごとに製品原価を集計する方法ですが、総合原価計算は一定期間(月間)の発生原価に在庫を加減して月間の製品原価合計を計算する方法です。ここでは個別の製品原価は計算されません。 つまり、総合原価計算は正確な意味で製品別原価計算ではありません。

製品原価の原価構造は、直接材料費と外注費、製造間接費です。製造間接費は製品別に直接跡付けることができないため、作業時間などを基準にして配賦されたものです。

もし、製造間接費が作業時間とは別の原因で発生するとしたら、製品原価は歪んでしまいます。例えば、無人工場の機械装置の維持管理を行う生産技術部門や生産手配を行う生産管理部門、あるいは経理部門のコストは作業時間とは全く連動していません。この不合理を取り除くために、それらの活動量を基準として製品原価を計算する方法が発明されました。これがABC(活動基準原価計算)です。

 

3  製品別原価計算の事例

20120423 -0001.JPG

 

上図より、製品1,000個を製造するオーダーをそれぞれ#101、#102、#103とします。#101は、前月に生産着手して当月完成しました。#102は、当月着手して当月完成、#103は、当月着手して当月末の仕掛りとします。
製造オーダー別原価計算とは、#101、#102、#103の原価を直接計算する方式です。#101、#102が完成したときに製品原価9,000円と1万5,000円は確定し、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えます。製品1個あたりの原価は#101が9円、#102が15円となります。月末現在未完成の#103に集計された7,000円が仕掛品金額です。

一方、総合原価計算は、当月発生コスト3万円に前月末仕掛品1,000円を加え、月末仕掛品7,000円を差し引いて完成品原価2万4,000円は#101と#102の合計額でしかわからないので月間の平均単価(2万4,000円÷2,000個=12円)の計算にとどまります。

 

4  総合原価計算の問題点

総合原価計算には、以下のような問題点を抱えています。
20120423 -0002.JPG

つまり、総合原価計算は部門別原価計算の延長にすぎず、正しい個別原価は分からないのです。

 

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【意外と知らない原価計算】 原価計算の3つのステップ

1  伝統的原価計算の3つのステップ

モノを作るという作業は、材料を価値ある製品に変換することです。工場では作業者が働き、機械が稼働し、その中を材料が流れて製品が出来上がります。通常、製造作業はいくつかの工程に分かれており、素材の加工や部品の組立作業が行われます。


原価計算は、作業現場で行われる製造活動の実態を貨幣価値に置き換えて表現することです。具体的には、原価を発生形態別に分類し、部門別、作業工程別、製品別に集計する一連の手続です。


昭和37年に定められた原価計算基準により、原価計算方式が定められました。ここで示されている原価計算のステップは、3段階に分けて行われます。

20120213 -cost 005.JPG

 

2  費目別原価計算の重要性

費目別原価計算は、1ヵ月で使用した材料、作業時間、電力量などを金額に置き換え、それに勘定科目をつけて分類する手続です。つまり、費目別原価計算の目的は、製造活動により消費したモノや時間を会計で表現することです。製造活動で使用する部品、人作業、電気や水道量の測定単位は、個、分、キロワット、立方メートルとさまざまです。会計が優れている点は、測定単位が異なる経済価値の消費を、金額という共通単位に置き換えられることです。


例えば、材料は原油、鉄鉱石、半導体、コンデンサー、コネクター、ビス、ナット等、品目はさまざまです。そこで測定単位を貨幣価値に統一し、コストに材料費という共通する勘定科目により束ねます。

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次回以降、部門別原価計算による予算コントロールについてみていきます。

 

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【意外と知らない原価計算】 原価計算を成功させる体制の整備

1  管理体制構築の必要性

原価計算を行うには、まず管理体制を整える必要があります。ここでいう管理とは、事業に関わるすべての管理をいいます。具体的には、「ヒト」、「モノ」、「カネ」ということになるでしょう。

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管理体制が整っていなければ、事業の内情をしっかりと把握することはできません。これではいざというときに、適切な対処ができません。「中小企業だから」「会社の規模が小さいから」「開業したばかりだから」などと言ってはいられません。会社の規模に関わらず、早急に管理体制を整える必要があります。

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2  管理体制に必要な帳票

管理体制が整ったら、早速着手します。原価計算の仕方はさまざまであり、個々の事業それぞれにあった計算方法を採用します。
管理体制に必要となる最低限の帳票は、以下のようなものがあります。

20120213 -cost 004.JPG

 

次回以降、具体的な原価計算のステップについてみていきます。

 

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